路線バスのステップ
ノンステップバス
乗降扉にステップないバスです。車いすでの乗車が可能です。構造に、大きく分けて以下の2種類があります。
1.フルフラットノンステップバス
国内で最初に誕生した量産型ノンステップバスがこのタイプのものです。1997年に三菱ふそうと日産ディーゼルが、1998年に日野といすゞが販売を開始しました。
三菱ふそうは、エンジンとデフを運転席側にオフセットすることにより中央通路のフルフラット化を実現。また他の3社はエンジンを最後部に押し込むことでフルフラット化を実現しています。そのため、三菱ふそう以外の3社のフルフラットノンステップバスでは、車体後部に大きなデッドスペースがあるのが特徴です(その部分だけ窓がないのでよくわかります)。
車内がフラットになることにより、車内での転倒事故を防止する効果が期待されています。一方で問題点も多く、主なものだけでも、
・デッドスペースがあるため車体の大きさのわりに車内空間を確保できず、収容力が小さい、
・特殊部品を多く使っているため整備性が低く、また高価である、
・エンジンルームが小さくなり、高出力エンジンを積めないため非力である、
・後輪のホイールハウスの高さは変わらず、車内通路のみフルフラットとしているため、車体後半の座席へ上る段差が非常に高くなり使いずらい、
等の問題点があります。そのため国内でのノンステップバスの生産は2の部分超低床バスへ移行しており、現在は生産されていません。
しかし、海外では今でもフルフラットノンステップバスが主体となっている地域も存在しています。また東京都交通局では、車内転倒事故の防止を目標にフルフラットノンステップバスの新製配置を決定しており、2018年に導入する予定です(海外製の車両)。
2.部分超低床バス(前中間ノンステップバス)
フルフラットノンステップバスは高価であったため、車体価格を下げることを目的に、既存の部分低床ワンステップバスをベースに、前扉と中扉の間のみ超低床化し、ノンステップとしたバスです。車内の写真で分かるように、中扉直後に段差があります。現在国内で製造されているノンステップバスはすべてこの構造です。
この構造にすることでフルフラットノンステップバスの項目で挙げた問題点をほぼ解決できますが、車内に段差があるため車内事故を誘発する可能性が指摘されています。また車内に段差があるため後ろ扉の設置が難しく、中扉車のみのラインナップになっています。
この構造にすることでフルフラットノンステップバスの項目で挙げた問題点をほぼ解決できますが、車内に段差があるため車内事故を誘発する可能性が指摘されています。また車内に段差があるため後ろ扉の設置が難しく、中扉車のみのラインナップになっています。
ワンステップバス
乗降扉にステップが1段ついているバスです。現在製造されているワンステップバスにはスロープが装備されており、車いすでの乗車が可能です。構造に、大きく分けて以下の2種類があります。3.フルフラットワンステップバス
フルフラットノンステップバスと同じように、車内に段差のないワンステップバスです。こちらもフルフラットノンステップバス同様に特殊部品を使用することから車両価格が高価であることが災いし、東京都交通局や大阪市交通局といった一部の交通局に導入されたのみで、普及はしませんでした。写真のバスは大阪市交通局から移籍した車両です。
4.部分低床バス(前中間ワンステップバス)
部分超低床バスと同じように、中扉以降に段差のあるワンステップバスです。従来のフルフラットワンステップバスは高価であったため、車体価格を下げるために、既存の都市型低床バスをさらに低床化し、前扉と中扉の間のみワンステップにしたものです。部分超低床バス同様に、中扉直後に段差があります。京急バスと日野自動車が共同で開発したため、「京急型ワンステップ」と呼ばれることもあります。
現在生産されているワンステップバスはすべてこのタイプです。こちらも車内に段差があることから、後扉の設置が難しく、中扉車のみの製造になっています。
現在生産されているワンステップバスはすべてこのタイプです。こちらも車内に段差があることから、後扉の設置が難しく、中扉車のみの製造になっています。
ツーステップバス
乗降扉にステップが2段ついているバスです。交通バリアフリー法の絡みで2001年以降は路線バスとしての新製登録が原則としてできなくなりました。ただし山岳路線や長距離路線など特殊環境の路線では、特例として現在もツーステップバスが新製配置される場合があります。
5.ツーステップバス
一般的なツーステップバスです。ほとんどが2000年以前に製造された車両で、三大都市圏では見られなくなってきました。
6.都市型低床バス
ツーステップバスをベースとして、偏平タイヤ(偏平率の低いタイヤ)を利用するなどして車高を下げることで、乗降をしやすくしたバスです。(※偏平率とは、サイドウォールの高さを幅との割合で表したもの)
5で挙げた普通のツーステップバスと比較すると、偏平率の低い(=タイヤ幅に対してサイドウオールの高さが低い=簡単に言えばゴムの部分が薄い)タイヤを履いていることがわかっていいただけるかと思います。
また、東京都交通局(都営バス)を中心に採用されたらくらくステップバスと呼ばれる車両も存在しています。こちらは偏平タイヤを履いた上で、さらにWB間の低床化を行い、それによってステップの段差高さを低くしたもので、実質1.5ステップ車のような感じになっています。ここで紹介している岩手県交通の車両も、元は都営バスで活躍していた移籍車両です。
私の手持ちでは資料が少ないので、詳細を知りたい方はグーグル先生に聞いてください・・・。
7.セミツーステップバス
ワンステップバスをベースに、大型のホイールを履かせたもので、結果的に車高が上がり、ステップを追加してツーステップとした車です。ワンステップバス・ノンステップバスは基本的に先述の偏平タイヤを履いていますが、当車は一般的なツーステップバス用のタイヤを履いています。要するに都市型低床車と逆のことをやった結果ステップが増えたのがこの車です。
ワンステップバスと比較して、前面のバンパー裾に対して、側面の乗降扉が下方向に延長されており、腰高な見た目になっています。新潟交通のみで見られる特注仕様で、降雪対策と思われます。結論から言うとただのツーステップバスですが、この特注仕様を「セミツーステップバス」と呼ぶことがあります。
4.ワンステップバスの写真の車と同じ車体がベースになっています。タイヤの厚さを比べてみてください。また、バンパー周りの処理やWB間とリアオーバーバンクの裾の段差等も比較してみると面白いと思います。
ワンステップバスと比較して、前面のバンパー裾に対して、側面の乗降扉が下方向に延長されており、腰高な見た目になっています。新潟交通のみで見られる特注仕様で、降雪対策と思われます。結論から言うとただのツーステップバスですが、この特注仕様を「セミツーステップバス」と呼ぶことがあります。
4.ワンステップバスの写真の車と同じ車体がベースになっています。タイヤの厚さを比べてみてください。また、バンパー周りの処理やWB間とリアオーバーバンクの裾の段差等も比較してみると面白いと思います。
リフトバス
8.リフトバス
主にツーステップバスやワンステップバスに車いすで乗車できることを目的として、扉にリフトが付いている車両です。前中扉車の場合中扉に、前後扉車の場合前扉に付けます。リフトのついている扉は、車いすが通過する幅を確保するためグライドドアになっていることが多く、逆にツーステップバス・ワンステップバスの扉がグライドドアになっている場合はたいていリフトが付いています。
路線用途のリフトバスは、ノンステップバスやワンステップバスの普及に伴って数を減らしていますが、スクールバスなどの用途で現在も生産が続けられています。
路線用途のリフトバスは、ノンステップバスやワンステップバスの普及に伴って数を減らしていますが、スクールバスなどの用途で現在も生産が続けられています。
コメント
コメントを投稿